検診異常
検診異常
尿は腎臓で作られ、尿管、膀胱、尿道を通って出てきます。この通り道のどこかに問題があると尿に異常がみられます。検診で行われる尿検査では、尿潜血、尿たんぱく、尿糖がわかります。これらは通常尿に出てくることはありませんが、何らかの問題があった時に尿から検出されることになります。尿検査は簡単に行え、体に関する多くの情報を与えてくれる大変役に立つ検査です。
尿検体の性状や、血尿・たんぱく尿などからいろいろな手掛かりを知ることができ、異常が発見された場合、原因の鑑別・診断につながり、さらに病勢・治療効果の評価を行うことができます。
この場合、真の血尿か、また赤血球の有無、形も参考にどこから出血しているのかを調べます。
尿中に変形した赤血球が多い場合糸球体(腎臓)からの出血、少ない場合それ以外からの出血を考えます。また、肉眼では確認できない血尿(顕微鏡的血尿)では異常が隠れていないことが多いのですが、肉眼で判断できる血尿(肉眼的血尿)は注意が必要です。この場合は①腫瘍の存在 ②尿路結石 ③炎症 ④糸球体腎炎などの腎臓病など、顕微鏡的血尿とは逆に治療が必要となる病気が隠れていることが多く、特に詳しく調べる必要があります。病気が隠れている場合、肉眼的血尿はすぐに治まっても原因が解決したわけではなく、発見の遅れにつながるため、速やかに受診をお奨めします。
この場合、一過性のたんぱく尿(生理的蛋白尿)の可能性があり、まず再検査をします。持続的に出ているたんぱく尿であれば、どのくらいの量が出ているのかを調べます。そして尿路の構造上の問題や、高血圧性の腎硬化症、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎などの腎臓病を調べます。並行して腎機能の低下がみられる場合、腎生検を検討することもあります。
尿潜血、尿たんぱくがともに陽性の場合は注意が必要です。腎炎などの腎臓病が生じている場合、糸球体が炎症を起こし血管が破綻、また糸球体そのものが破損し赤血球やたんぱくが漏れ出ている可能性があります。早期に腎機能障害が出現する可能性も高く、早急に精査を行うことが奨められます。
尿糖は、血糖値がある一定以上になると、腎臓から糖分があふれてしまうために検出されます。 そのため尿糖が陽性になった場合には、糖尿病を疑い血糖値やHbA1cの値を調べることになります。ただし、腎性尿糖といい血糖値が高くなくとも陽性になる場合もあります。
PSAとは前立腺で産生される蛋白質です。常日頃から前立腺内で産生され大部分は前立腺内部に保持されていますが、少しずつ血液の中に流れ出しています。したがって、採血をしてPSAを調べると必ず数値は検出されます。このPSAは前立腺でのみ産生されているため(他の臓器では産生されていないため)、数値は前立腺内部で起きている出来事を反映します。低いことでは問題ありませんが高くなった時に、高くなるような原因
このような解釈が成り立ちます。
③の炎症の場合は発熱や排尿困難や排尿時痛など症状を伴いますが、①肥大症 ②前立腺がん はよほど数値が高くない限りは区別することが困難なため、詳しく調べる必要があります。PSAの再検査、触診、MRIを行い、必要に応じて「前立腺生検(前立腺の組織検査)」を検討いたします。前立腺癌の項目でも述べておりますが、前立腺がんは加齢と共に増加するため、50歳を過ぎたら毎年PSA検診を受けることをお奨めいたします。